ドイツ・オランダ・イギリス。「社会的養護・児童養護について日本が見習うべき点」まとめ


ここではこども@ホーム推進委員会の議員が
社会的養護・児童養護の分野の視察に欧州を訪れた経験から、
海外福祉先進国から学ぶべき点をご紹介いたします。

●児童福祉の主体が、基礎自治体に移管されている

各国ともに、児童養護を担う当局は「基礎自治体」です。
いずれの国も以前は州政府が持っていたようですが、

「身近な自治体が、きめ細かい支援を提供するべき」

という発想から、基礎自治体への移管が完了しています。

我が国では児童福祉を司る「児童相談所」は都道府県管轄。
特に東京都の場合、1300万人の人口に対して11か所しか児童相談所がなく、
人口比率あたりのソーシャルワーカー数も非常に希薄です。

特別区(23区)区長会が児童相談所の移管を都に求めていますが、
財源・人的資源とともに速やかに移管を行うべきです。

●民間支援団体・相談機関の活用・連携

児童福祉のプレイヤーは当局(地方自治体)だけでなく、
様々な民間支援団体が担っていることも各国共通事項でした。

養子縁組先や里親とのマッチング、候補者のリクルート、
その育成やアフターフォローまで、多くの機能を民間支援機関が実施しており、
行政との業務負担の比率は概ね5:5から4:6程度です。

里親や要保護児童に対応するものだけでなく、イギリスでは両親・家族側をケアする
相談・支援機関も民間に存在し、実行しています。

里親候補の開拓からマッチング、要保護児童の引き離しや家族ケアまで、
すべての事業を児童相談所が担っている我が国の状態は、明らかにキャパオーバーです。

あらゆる角度から要保護児童・里親・養育困難家庭を支える
仕組みづくりを進める必要があります。

●「子どもの利益が最優先」という概念の定着と法制化

いずれの国も1970年代から様々な社会運動により
「子どもの利益が最優先」の価値観が定着しており、
イギリスの「児童法」のように明確に法制化されている国もありました。

要保護とみなされた児童たちは迅速にソーシャルワーカーによって保護され、
裁判所によって親権停止・はく奪を行ってまで子どもの利益を守ります。

ところが、我が国の親権の強さは異常なレベルになっており、
平成24年の法改正で親権停止が理論上は可能になったものの、その実施は数件程度。
親権に配慮するあまり、保護された子どもたちもほとんどが施設に送り込まれます。

そして日本には

・児童福祉法
・児童虐待防止法
・子ども子育て支援法

など児童養護に係る法律が複数存在しますが、
子どもの人権が主体になった国内法は存在しません。
子どものを主体とした、新たな法整備が求められます。

●乳児院は原則廃止

年齢を重ねた児童や、スペシャルニーズに対応するために施設であれば
すべてをなくすことはできませんが、少なくとも乳児院は段階的に廃止が可能です。
各国ともに、乳児は一時保護→里親での対応に切り替えていました。

また、医療的ケアが必要な重症心身障害児を除けば、
どんな障害があれ里親家庭で育てることは可能であるという姿勢も共通でした。

もちろんそのためには、単に里親にマッチングすれば良いのではなく、
里親たちに対して専門機関がサポートする体制を整える必要があることは言うまでもありません。