巨大な権限を持つがゆえに、課題も…日本の「児童相談所」の実態は?


「里親措置・特別養子縁組までまったく手が回っていない」
「対応が後手後手で、一時保護所の滞在期間が長期化している」
「全般的に、要保護児童に対する対応が迅速に行われない」

などと批判をされがちな児童相談所ですが、
その実は強大な権限を持つことも同時に指摘されています。

虐待などの相談・対応が後手に回っているという批判の一方で、
「あらぬ虐待の疑いをかけられて、子どもを強制的に保護されてしまった」
という事例もまた多く報告されているようです。

確かに児童福祉法第三十三条によって、児童相談所の所長は
必要であれば保護者の同意なく児童を保護することができます。

これは警察が令状なしで(現行犯以外の)逮捕を乱発できるようなもので、
適切に使われれば大きな実行力とスピードが期待される反面、
濫用されてしまえば極めて大きなリスクが生じます。

しかもその後、児童相談所の裁量によって
保護者への面会を禁じ、年単位で交流をさせないことも可能なのです。

「適切な保護」と「(保護者の意に反した)強制的な連れ去り」の判断は、
当然のことながら極めて難しいものです。虐待の事実を保護者が認めないケースで、
児童相談所による保護を拒否することができてしまえば、命が失われる事態も発生しかねません。

しかし日本の児童相談所は、
先進諸国と比べて問題が多いことも事実と言えます。
例えばオランダなどでは、

「保護者や学校からの虐待相談に応じる部門」
「実際に強制保護・一時保護を決断して実行する部門」
「その一時保護が適切なものであったのかどうか、判断・検証する部門」

がすべて独立して存在しています。
そのためチェック&バランスが働き、どこかに不適切な対応があれば
指摘を受けやすい、発覚しやすい仕組みになっているわけです。

ところが我が国の児童相談所は、その内部に上記機能のほぼすべてを抱え込んでいます。
組織が自浄作用を働かせて、自ら過ちを見つけるのは極めて難しいのは言うまでもありません。
(各自治体に設置されるチェック機関「児童福祉審議会」も、形骸化が強く指摘されています)

また、相談窓口と実務部隊・権限者がすべて一緒になっていることも問題で、
本来であればある種気軽に相談できるはずが、

「児童相談所に相談しようものなら、虐待の疑いで子どもが連れ去られてしまう!」

と、悩みを抱え込んでしまう保護者が発生する可能性もあります。
しかしわが国では児童相談所しか、この問題にアプローチできる機関は存在しません。

アメリカでは、日本の児童相談所にあたる行政機関は
8つのセクターに分かれているとも言われています。

児童相談所とその職員たちは、専門分野によって
役割ごとの分化と機能強化を検討していくべきでしょう。