施設措置からの転換は良いけれど…「家庭養護」「家庭的養護」の違いって?


日本の要保護児童は実にその9割近くが施設で集団生活を送っておりますが、
こうした状況を受けて厚労省は、社会的養護の「脱施設化」を明確に目指し、
以下の様な対応目標を指針として自治体に通知しています。

「施設養護・家庭的養護・家庭養護で、概ね三分の一ずつ(30%強)を目指す」
「家庭的養護と家庭養護を合わせた総称は、『家庭的養護』と称する」

「施設養護」とは文字通り、旧来通りの施設での集団生活です。
「家庭養護」は里親委託(東京都で言うところの『養育家庭』)を指します。

では「家庭『的』養護」とはいったい何なのでしょうか。
「家庭的養護」とは、住宅を利用して6名を上限とし子どもを養育する、
つまるところ『施設の小規模化』を意味します。

これは「施設より家庭的な環境」だろうということで、
この名称がついたのだろうと推察されます。

しかし皆さんにとって「家庭」とはなんでしょうか?
多くの場合、それは自分を受け入れてくれる
「家族・親」のことを指すのでないでしょうか。

このグループホームは住宅を利用して、
少人数で生活するとはいえ、スタッフは常勤ではなくシフト制です。
さらに異動もあれば、退職するスタッフもいるでしょう。

どれだけ「家庭」に近づけたとしても、
家に帰ればいつも親や同じ保護者が迎え入れてくれる環境を
作り出すことは決してできない
のです。

特定の養育者との人間関係・愛着関係を形成できなかった児童は、
「愛着障害」という症状を発生させるリスクがあり、これが昨今
世界各国で「施設から里親家庭へ」を促す最大の理由の一つとなっています。

グループホームではこの問題を解決することは決してできず、
どれだけ見かけを家庭に近づけても、それは家庭の代わりにはなりえません。
そしてそれ以上の問題は、

「家庭的養護と家庭養護を合わせた総称は、『家庭的養護』と称する」

という用語の定義をしたことです。
その結果、「家庭『的』養護を促進します」という謳い文句の元、
一部ではグループホームを中心とした施設養護が維持・促進されてしまっています。

東京都は平成27年4月に新たな社会的養護の推進計画を発表しましたが、

「厚労省の数値目標は、あくまで技術的助言」
「都では、家庭養護と家庭的養護の区別を設けず、合わせて6割を目指す」

と堂々と宣言しています。
これでは、子どもに家庭を与える里親委託が進むとは限りません。

「家庭『的』養護」

という単語の響きに政治家すらも誤解するケースは少なくなく、
ただでさえ世界各国から遅れている社会的養護の分野において、
施設の形を変えて温存が許される事態を作り出しています。

家庭養護と家庭的養護は、明確に異なります。
子どもたちのために重要なのは、「家庭養護」の促進なのです。


もちろん、施設養護やグループホームに適した児童がいることも確かであり、
その存在や出身者の存在をすべて否定するものではないことは、
最後に念のため付け加えておきます。