不足するキャパシティ、厳しい行動制限、劣悪な環境…「一時保護所」が抱える問題点


予期せぬ保護者との別れや激しい虐待などにより、
「緊急保護」が必要になった児童たちは、どこに行くかご存じでしょうか。

何らかの事情が発覚したらすぐに、
里親の元や児童養護施設に行けるわけではありません。
本人の状態を見極め、最適な保護先を探すには時間が必要です。

かといって、例えば虐待を受けている子どもを、
検討している期間中に親元に残しておくことはできません。
その間に緊急回避的に子どもたちが暮らす場所が

「一時保護所」

と呼ばれる施設であり、各児童相談所によって運営されています。
そして他の社会的養護の分野と同様、この一時保護所にもいま、
多くの問題点や課題が指摘されています。

近年の虐待件数の飛躍的な増加を反映して、常に保護所は満員状態。

虐待などから「保護」されてきた子ども等が多くを占めるため、
加害者から彼らの安全を守る必要などから、一時保護所にいる間は
子どもたちは学校や保育所・幼稚園に通うことはできません

施設の中には教室などもあり、バラバラの年齢や背景を持つ子どもたちが
保護所のスタッフから勉強を教えてもらう生活を続けていくことになります。

そして安全管理の面から外出も厳しく管理され、事実上、
特別な事情がない限り自分の意思で外に出ることもできません。
これらの対応は、あくまで

「一時的なものだから」

許されるものだと言えるでしょう。
ところがこの一時保護所の子どもたちの滞在期間は、
1週間や2週間という単位ではないことがほとんどです。

現在の平均滞在期間は、およそ40日弱。
法律上最長は二ヶ月とされ、それ以上に及ぶときは審議会の認可が必要になりますが、
親元に帰れない、措置先も見つからない児童が1年以上滞在するケースもあります。

加えて一時保護所は、やむをえぬ事情で緊急保護されてきた子どもたちで溢れています。
精神状態は極めて不安定で、問題行動も多くなることが予想されます。

例えば保護者の「ネグレクト」が原因で非行に走り保護されてきた子どもと、
保護者から虐待をされて緊急保護されてきた子どもが、同じ空間にいます。
子ども同士の力関係がどうなるか想像には難しくありません。

他の子どもに危害を加えようとする子供がいれば、
職員は強い口調を用いたり、ときに腕力を使ってでも
他の子どもの安全を確保しなければなりません。

弱いものが、さらに弱いものを叩く。
それを静止するために、職員は時に威圧的な行為を行う。
その光景が自分自身を虐待してきた「大人」の姿に重なる…

このような状態で保護された子どもたちは、
安全なはずの避難施設の中で、ありとあらゆる恐怖と隣り合わせになってしまうのです。