新生児を救う切り札・赤ちゃん縁組(愛知方式)について


ここまで見たきたように、日本では里親委託がまったく進まず、
多くの赤ちゃんや子どもたちが施設に送られています。

そして東京都を始めとする多くの都道府県では、
特に要保護となった生まれたばかりの赤ちゃん、新生児については

「障がいや病気の有無などを正確に見極めるため」
「最適な里親とのマッチングを慎重に行うため」

等の理由で、最も愛着関係が形成される新生児の時期の大半を乳児院で過ごさせています
我が国では、これが「当たり前」でした。上記理由の聞こえはいいのですが、

「要は障がいや病気を持った児童を委託したら、里親からクレームがくるかもしれない」
「里親側も、なるべく「希望にそった(丈夫で健やかな)」児童を手元に引き取りたい」

という、「大人側の理屈」がその多くを占めているのが実状です。
東京都では新生児委託(0歳0ヶ月)はこれまで0件。0歳時までその幅を広げても、
ここ3年間でわずか4件の里親委託しかありません。

こうした日本の児童養護の現状に異を唱えて立ち上がったのが、愛知県です。
愛知県では、強い信念を持つ伝説的な児童養護施設職員が音頭を取り、
「愛知方式」と呼ばれる赤ちゃん養子縁組を初めて導入・実施しました。

「病院で生まれたら即、里親の元に措置する」

という仕組みを作り上げたのです。
この里親とは、特別養子縁組を前提とした「養子縁組里親」と呼ばれるものです。

里親はその子の名付け親にもなり、生まれた瞬間からまさに擬似的な親子関係を形成します。
こうした生まれた愛着関係は強固で、不調(里親から施設に戻されること)となったケースは、
なんとゼロ件であると言われています。

子どもが親を選べないように、親だって子どもは選べない。
児童養護は子どもが欲しい里親ではなく、子どもたち自身のためのもの。
ゆえに障がいや病気、性別などの有無や差異は一切関係なく受け止める…

そんな信念と哲学に基づいたこの「赤ちゃん縁組」での
里親委託・特別養子縁組を希望する方々には、

「子供の性別は問わない」
「病気、障害の有無を問わない」
「養子縁組の成立前に生みの親が引き取りたいと申し出たら、つらくてもお返しする」

など、非常に厳しい誓約書にサインをすることになります。
この条件を前に、里親希望者の多くは残念ながら脱落するそうです。

それでも、毎年多くの赤ちゃんと子どもが欲しい妙齢の夫婦たちが、
この方式によって里親委託、そして養子縁組へと導かれていっています。

こうした赤ちゃん縁組・愛知方式の有用性はついに厚生労働省も認め、
平成23年から「里親委託ガイドライン」の中で正式に推奨されています。

しかしながら東京都や他の多くの自治体も、導入には二の足を踏んでいるのが現状です。
こども@ホーム推進委員会では、この「赤ちゃん縁組」を全国に広げるための
政策提言をすることも、活動の柱の一つとなっています。