施設に依存する日本の社会的養護…里親委託が進まない理由(1)


日本の「社会的養護」は圧倒的に施設に偏り、諸外国と比較をして
里親委託がまったく進んでいないのが実状です。

可能であればやはり、すべての児童に家庭的環境を与えることがベストです。
特に乳幼児(0~2歳)の時期に、家族的存在から充分な愛情を受けなかった子どもは、
深刻な「愛情剥奪症」になることも指摘されています。

適齢時期を過ぎ、問題行動が起きてからの里親委託や養子縁組はなかなか難しく、
乳児の、それも早い段階でいかに素早く里親を見つけるかが重要なポイントになります。

ところが我が国は、この里親委託に極めて消極的です。

例えば東京都における社会的養護が必要な新生児において、
乳児院への措置が321件に対して、里親への措置はわずか14件。
しかも、そのほとんどが1歳を過ぎてからの措置です。
※厚労省平成24年度データより

乳児院退所後(3歳児以降)の行先も、同じく平成24年度のデータでは
児童養護施設が約65%と、およそ3分の2を施設に措置していることになります。

そもそもユニセフが定める社会的養護における国際基準では、
施設への措置は「最終手段」とされており、その条件は

・きょうだいが多く、全員一緒に育てた方が良い場合
・10代後半で、自分の意思で施設を選ぶ場合
・里親委託が何度も破綻した場合

のいずれかに当てはまる時のみ、施設措置を認めるとしています。
先進国ではこの方針に基づき、まずは里親委託先を探すのが一般的です。

ところが我が国では、多分に文化的な背景もあると思いますが、
「基本的には施設で、うまくマッチングした場合は里親に委託する」
という真逆の方針が全国的に強く貫かれています。

「どんな親であれ、親は親」
「つらいことがあっても、実の親の元にいるのが一番」

こうした日本人の感情はなかなか払拭しがたいものがあります。例えば、
養育能力のない実親から子どもを保護し、里親などの預かり先で事故が起こった場合、
マスコミや国民はその措置を行った行政を強く批判するのは容易に想像されることです。

児童養護施設に「仕方なく」入れておく分にはそれほど批判されないが、
積極的に里親委託を行って、事故などが起こったらとんでもない…
実親から裁判でも起こされたら、責任が取れない…

成功するより、失敗しないことを重視する日本行政の体質が、
もっとも色濃く出ている分野の一つともいえるでしょう。