【おときた駿】都議会予算特別委員会質問内容


平成27年3月16日 予算特別委員会質問内容より抜粋(産業労働局)

〇おときた委員 それでは、最後の項目として、社会的養護についての質問に移ります。
近年、ドラマやドキュメンタリーの放送で社会的関心が高まり、徐々に改善へと向かいつつある要保護児童への社会的養護ですが、手厚い高齢者福祉などに比べれば、まだまだ不十分な状況です。
まずは、児童養護施設の人員配置、予算措置について伺います。
要保護児童を集団で保護する児童養護施設では、その職員の人員配置の規定は、国によって、子供五・五名対職員一名と定められています。そこに東京都はこれまで独自加算を行い、子供五名対職員一名までの加配を認めていました。これにより、東京都の児童養護施設における児童福祉は大いに増進されたものと高く評価をされるところです。
さて今般、国は、子ども・子育て支援新制度の中で、グループホームなどの家庭的養護の促進、施設の小規模化を進めるために、この職員配置基準の改善を目指し、まずは四対一の割合まで配置することを決定いたしました。これは大きな前進ではありますが、国が目指すグループホーム、小規模室の運営を適切に行うためには、全く不十分な数字です。
グループホームなどは二十四時間の職員の常駐が必要になる運営形態ですので、この配置で忠実に労働基準法にのっとった運営をしようとすれば、アルバイトに頼らざるを得ないという状況が多々発生してしまいます。
児童養護施設の人員不足はたびたび問題になっており、職員の早期退職なども相次ぎ、子供たちに十分な育成環境を提供できない大きな要因ともなっています。
こうした状況を踏まえ、東京都が行ってきた〇・五人分の独自加算は、四対一の配置となり、それが基準として設定した後も継続して行うことが望ましいと考えますが、東京都の見解をお伺いいたします。

〇梶原福祉保健局長 現在、都は、児童養護施設の望ましいサービス水準を確保するため、国基準を上回る職員配置などに係る経費を補助するとともに、グループホームの補助者や助言指導等を行う職員の増配置経費など、独自の支援を行っております。
国は、平成二十三年に社会的養護の課題と将来像を取りまとめ、その中で職員配置の改善等の方向性も示しております。
東京都児童福祉審議会では、こうした国の動きも織り込みながら、今後の東京の社会的養護のあり方について検討がなされ、昨年十月に、人材の資質向上に向けた支援策の強化など、都の施策の方向性についての提言をいただきました。
今後、都としては、この提言も踏まえながら、社会的養護の取り組みを進めてまいります。

〇おときた委員 ぜひとも答申等に基づきまして、子供たちへの手厚い予算配置が継続されることを望みます。
次に、里親委託並びに特別養子縁組の促進についてです。
東京都の施設偏重の傾向と里親委託、特別養子縁組への取り組みの貧弱さについては、先般の一般質問における我が会派の上田令子都議を初め、多くの議員たちが再三にわたって指摘をしている点でございます。
多くの質問に対し、そのたびに東京都は、家庭的な環境のもとで愛情に包まれながら健やかに養育されることが望ましい、まずは養育家庭への委託を検討するなどの答弁はされるものの、その実態は残念ながら遅々として進んでおりません。
特に、愛着関係を形成する上で、最も家庭環境が重要といわれる新生児については、平成二十三年度から二十五年度まででゼロ件、生後一カ月以上のゼロ歳児にまで幅を広げても、たったの四件にすぎないことが資料要求によって明らかになりました。
一方で、里親登録をしながら未委託となっている里親が、東京都には毎年二百件弱、数字にして四〇%も存在しています。最も保護者との結びつきが育まれる生後間もない時期に里親措置ができる可能性が大いにあるにもかかわらず、なぜ新生児の乳児院措置がこれほど多く、そして長いのでしょうか。
先般の上田都議からの同様の質問に対しては、丁寧な対応が必要であり、十分な期間を要すると認識との答弁がありました。ここについて、私が児童養護施設や現場のスタッフに実際にヒアリングを行ったところ、子供に病気や障害があるリスクが存在するという回答などが多く得られました。
場合によっては、施設措置が望ましい場合もゼロではありませんが、障害や病気の有無にかかわらず、子供たちには誰しも、一義的には家庭環境を得る権利があるはずです。
特別養子縁組を前提に慎重な委託をしていると考えるにしても、民法によって六カ月間の猶予期間があります。この検討期間は、一体誰に向けた何のためのものなのかというのを、特に前者を中心としてお聞かせください。

〇梶原福祉保健局長 里親委託の取り組みが貧弱だとは思っておりません。
要保護児童の措置委託に当たっては、児童の福祉を第一に考え、児童の年齢、生育歴、心身の発達状況、保護者の家庭引き取りの可能性など、児童一人一人の状況を総合的に勘案し決定しており、まずは養育家庭等への委託を検討しております。
新生児の場合は、保護者が今後育てる意向があるのか、育てられる状況や環境にあるのか、将来的に子供を引き取る可能性はあるのかなど十分なケースワークが必要でございます。
その上で、養育家庭へ委託する場合には、養育家庭の状況をきめ細かく把握し、委託に向けた交流を重ねるなど丁寧な対応が必要であり、十分な期間を要するものと認識しております。

〇おときた委員 児童相談所の次長まで務められた梶原局長には釈迦に説法かとは思いますが、児童のためであれば、まず何よりも生後間もない時期から愛着関係を形成することが重要であると思います。この視点が、やはりやや欠けているかのように感じます。他国や他県の先進事例をぜひ参考にしていただきたいと思います。
ここに関連して、里親委託や特別養子縁組が進まない理由に、私の調査に対して、児童相談所や現場スタッフの多くが、実親の不同意を挙げました。誰かに自分の子供をとられてしまうかもしれない、だから施設に入れておきたいという実親の感情があることは想像ができますが、事親権が移動しない里親については、これは全くの誤解です。
そもそも社会的養護は、子供のために存在する制度であり、子供が家庭環境を得ることは、我が国も批准した、通称子どもの権利条約によって保障されています。
資料要求したところ、統計的なデータは不存在でしたが、実親の不同意を理由として里親措置が行われないとすれば、それはどのような根拠法令に基づいての判断なのでしょうか、伺います。

〇梶原福祉保健局長 我が国の民法では、第八百二十条で、子に対する親権者の監護及び教育の権利、義務が規定されており、親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負うこととなっております。
そのため、児童福祉法第二十七条第四項では、親権者の意に反して施設の入所措置や里親への委託等は行うことができないと規定されております。
諸外国等の制度はさまざまであります。

〇おときた委員 それでは、こちらは確認になりますが、子供のためには、施設より里親がふさわしいと考えられる場合でも、実親の不同意を理由に施設措置を選択される子供たちが一定数いるということでしょうか。
また、同二十八条には、一定の条件のもとでは、親の同意なく社会的養護を、措置方法まで含めて行えるはずですが、こちらを適用して、要保護児童を里親措置することはできないのでしょうか、伺います。

〇梶原福祉保健局長 児童福祉法第二十八条では、保護者が児童を虐待するなど著しく児童の福祉を害する場合、保護者から強制的に児童を分離するため、児童相談所は家庭裁判所に申し立てを行うことができ、家庭裁判所は、虐待等の事実、内容、児童相談所の指導や支援に応じない保護者の態度などを総合的に勘案し、親子分離の是非を判断しております。
実親が養育家庭への委託に同意しないため、施設に入所するケースはございます。こうした場合につきましても、養育家庭への委託を求めて、二十八条の申し立てを行うことは法的には可能でございますが、既に保護者が施設入所を承諾していることから、家庭裁判所はその申し立てを承認しないものと考えております。
また、児童相談所は、児童の将来を見据え、再び家庭で暮らせるよう、親子に対して指導、支援を行う役割も担っており、二十八条に基づく申し立てを行うことは、児童の家庭復帰に向けた調整も困難にすると考えております。
なお、施設入所中の児童につきましても、児童相談所は、保護者等の面会の有無や家庭への引き取りの見通しなどを総合的に判断し、養育家庭への委託を検討しております。

〇おときた委員 ご答弁の中にあったとおり、二十八条第一項の申し立てにより、里親委託は法的には可能であると。ただ、にもかかわらず、これが行使されて、里親委託とされる件数は非常に少ない。東京都は、これは難しいというふうに判断されているのだと思います。
ただ、法的には、社会的養護を選択する中で、里親か社会的養護かを実親が選ぶということのシステムにはなっていないと思いますし、手がかからなくなったら引き取りに行きたいので施設に預けておきたいとか、どう考えても、やはりちょっと、かなり引き取るのは難しいというケースでも、親権をなかなか手放さないということも実際にはあると仄聞をしております。
二十八条申し立ては、深刻な事態にのみ使える最後の手段ではなく、子供が家庭を得る権利を行使するために積極的に活用するべき選択肢はないでしょうか。この申し立てによって、一人でも多くの子供たちに家庭環境が与えられることを強く要望いたします。
さまざまな問題点を取り上げてまいりましたが、とにかく私や、この問題を取り上げてきた全ての議員たちが恐らく申し上げたいのは、里親委託や特別養子縁組、特に新生児からの里親委託、特別養子縁組を進めてほしい、子供たちに家庭を与えてほしいという点に尽きます。
グループホームなどの施設の充実は、現状よりは確かに前進です。しかしながら、これにはパーマネンシーケアなどの概念が欠如しており、ここに注力し過ぎることはボタンのかけ違いです。小規模になることだけではなく、主たる保護者、世話人が容易にかわらない環境を整えてこそ、子供たちに十分な愛着を与えられます。
これはアメリカの医学書、精神疾患の診断・統計マニュアルを初め、多くの有識者が指摘をしており、自明とされるところです。
東京都の長期ビジョンにおいても、詳細版には、里親を含む家庭的養護の割合向上と記載されているものの、そのエッセンスである概略版の内容は、全て施設の充実にかかわることになっており、相変わらずの施設志向が見てとれることを私は非常に危惧をしております。
二年かけて作成された児童福祉審議会の答申内容も、残念ながら、施設を中心としたものです。
また一方、児童虐待死の中で最も多いのは、ゼロ歳ゼロカ月ゼロ日です。生まれてすぐの新生児に対応する、予期せぬ妊娠に対して妊婦のときから対応できる、いわゆる愛知方式、赤ちゃん縁組の仕組みがあれば、こうした悲劇の一部は回避をできたかもしれません。
虐待死の防止のためにも、愛着障害を防ぐためにも、親子の結びつきを強めるためにも、新生児を病院から直接里親委託する方法は極めて有効です。
基本的に、乳児であれば六カ月以上は経過を見るという慎重な対応をしてきた東京都が最初の一歩を踏み出すことは勇気が要るのかもしれません。しかし、新生児を里親措置するこの赤ちゃん縁組の方式をスタートした矢満田氏の著作によれば、赤ちゃん縁組のケースで不調になった例はほぼ皆無であるといいます。
平成二十三年には、ついに厚労省が、この愛知方式、赤ちゃん縁組を有用であると認め、里親委託ガイドラインを定めました。
ここまでの実績があれば、あとは政治的な決断です。家庭的養護を進めていくとの姿勢は、過去の答弁から理解をしておりますし、現状に比べれば確かに前進ではありますが、グループホームや施設の小規模化を、里親等の家庭養護と同列に扱う姿勢は疑問視されますし、施設措置が約九割に及ぶ東京都の現状は、国際的に見ても大変おくれているものと評価をされてしまっています。
家族及び家族に準ずる方との愛着関係が非常に重要であることは、自身の母親の介護が政治家としての原点であるといわれる舛添知事であれば、強く感じておられることではないでしょうか。
児童福祉でも東京世界一を目指す舛添知事には、子供たちに継続的な愛着関係を与える里親委託、特にこの新生児を初めとする里親委託の推進を中心として、さらなる家庭的養護の増進に挑む決意をお示しいただきたく、最後にぜひお伺いさせてください。

〇舛添知事 社会的養護を必要とする子供であっても、家庭的な環境のもとで愛情に包まれながら健やかに養育されることが望ましいと考えております。
そのため、都はこれまで、養育家庭、ファミリーホーム、グループホームなどの家庭的養護を推進してまいりました。
都におきましては、さまざまな事情で親元で暮らせない場合にあっても、子供の福祉を第一に考え、一人一人の状況を十分勘案した上で、まずは養育家庭への委託を検討しております。
都は、平成四十一年度までに、家庭的養護の割合を六割に引き上げる方針でありまして、今後、具体的な方策について、学識経験者等、専門家の意見も聞きながら検討を続けていきたいと思っております。

〇おときた委員 舛添知事本人から、まずは、養育家庭、里親委託を優先するという心強いお言葉をいただきました。やはり、再三の繰り返しになりますが、グループホームなどの主たる世話人がかわる形態と里親委託、特別養子縁組というのは彼我の隔たりがあるというふうに感じておりますので、ぜひこちらを中心として、そして、申し上げました愛知方式、赤ちゃん縁組などにも踏み込んでいただきたいということを最後に意見として申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。

おときた駿 東京都議会議員(北区選出)

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